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TALKS ABOUT DA BOMB

Sucholi & Kim Gwangho

|座談会| TALKS ABOUT DA BOMB -Part2-

~盟友キム・ガンホを迎えて~

 

話し手:スチョリ&キム・ガンホ

聞き手:citymusic代表/柳本篤

TRACK 7 :

ウェス・アンダーソンとウディ・アレン、そしてデヴィッド・リンチ

スチョリ : ところでガンホの『ヒット&ラン』2回目のよかったね!

 

―中村八大の。

 

スチョリ : (笑)うん、意外性がよかったわ。

 

ガンホ : うん、まだまだやるで。

 

―マニラ・マルダーさん※註3 も「ガンホのアレ、めっちゃええな!あいつあんなに文章書けるねんな!」って言ってました(笑)

 

スチョリガンホ : ははは!!(爆笑)

 

スチョリ : いや、でももっと多方面に攻めてね。ギターの話は一切無しで。

 

ガンホ : そうそう、とりあえず(ギターの話は)やらんとこかなと思ってて。映画も好きやしね。あ、こないだあれ観た。ウェス・アンダーソンの『ライフ・アクアティック』。

 

スチョリ : あ、豆さんがニット帽パクってるやつ(笑)

 

―スニーカーもアディダスのローマなんですよねぇ(笑)

 

ガンホ : 色使いがすごくキレイやったな。

 

スチョリ : いいよね、あの人(ウェス・アンダーソン監督)の作品はどれもキレイやわ。あれブルーレイ出えへんかな。

 

ガンホ : ビル・マーレイはファミリーみたいな感じ?

 

―そうですね、ほぼ全作品に出てるんじゃないですかね。元々ウェス・アンダーソンはビル・マーレイの大ファンだったみたいで。

 

スチョリ : 『ダージリン急行』も好きやなぁ。映画で流れるKinksがめちゃかっこいい!!

 

ガンホ : デビュー作は『ロイヤル・テネンバウムス』やったっけ?いや、その前になんかあるねんな。天才マックスのなんちゃら・・・

 

―『天才マックスの世界』ですね。

 

スチョリ : あ、オレそれ観てない。

 

―DVDあるんで、また持ってきます(笑)

 

スチョリ : ぼくウディ・アレンも大好きですねぇ。

 

―オススメは?

 

スチョリ : 最近だと『ミッドナイト・イン・パリ』はすごくよかった。夜の12時になってパリの裏道入ったら急に1920年代にタイムスリップする、みたいな。コール・ポーターとかフィッツジェラルド、ヘミングウェイとかが出てきたり。夢が溢れてますわ。

 

ガンホ : 『ギター弾きの恋』もウディ・アレンやったっけ?ショーン・ペンの。

 

スチョリ : うん、あれもそう。レコーディングのときに曽我さんとも映画の話をしてたんですよ。『シェーン』とか知ってる?

 

ガンホ : シェーン、カムバーック?

 

スチョリ : そうそう!古いハリウッド映画の。で、「ダ・ボン」のイントロを『シェーン』のバックで流れてるような、とかニュアンスを伝えたり。イラストレーターの菅野さんも『ミッドナイト・イン・パリ』の世界観が凄く好きで、古き良きあの時代の世界を描きますって言ってくれて。

 

ガンホ : でもあのトラクター乗ってるイラストは、デヴィッド・リンチの『ストレイト・ストーリー』みたいな感じやんね。

 

スチョリ : そう!そうやねん!菅野さんにはそれ言わんとこうと思っててんけど、思わず言っちゃって(笑)

 

TRACK 8 :

12年前の自分たちは演奏に迷いが無い

―シングルのA面・B面、これがまたいいバランスです。

 

スチョリ : 最後までモメましたけどね。途中「ダ・ボン」がA面候補やったんですよ。

 

―レコーディングが終わってから?

 

スチョリ : いや、レコーディング前から。曽我さんが頭の4小節作ってきてくれたときに、よっしゃ、これはA面にしよう!と思って。でも最終的に2曲完成したときに「みんなのうた」のインパクトが強くて。

 

―ガンホくん的にどうですか?

 

ガンホ : 完成版聴くまで「ダ・ボン」はもうちょっと暗いかなと思ってた、実は。

 

スチョリ : そやね、2人でやるときはもっと枯れてるもんな(笑)

 

―「みんなのうた」はいつ頃作った曲ですか?

 

スチョリ : 2年前には曲ができてて、元々は「四人旅」をテーマにして作り始めたんですよ。でも結局完成しなくて。で、ロジャーのことがあってその後自然に歌詞が出てきて、2月の「デュオ・ツアー」(FULL SWING・山口ゆきのりとのツアー)でようやく歌えるようになったんです。

 

―ロジャーが亡くなったとき、2人は連絡を取り合ったんですか?

 

スチョリ : 最初は長門さんから電話があって。長門さんもすごくショックを受けてる感じでした。もちろん僕も聞いたときは現実を受け入れれなくて。そのあとガンホが連絡してきてくれたんやっけ?

 

ガンホ : そう。もう泣きながらやったなぁ。うん、泣いたね。後悔してるのは、ロジャーとは手紙とかであんまりやり取りしてないんよね。昔から「手紙とかじゃなくて、オレ会いに行くから」とか豪語してたし。

 

―今年は2003年のツアー音源が発掘されて、みんなで試聴会もやって。

 

スチョリ : あ、あの天才バンドやな(笑)

 

―干支がひと回りしてやっと自分たちの演奏を受け入れることができた、と。

 

スチョリ : うん、辻くんも言ってたけど、演奏に迷いが無い。ロジャーに対して、ルーツ・ミュージックに対してちゃんとリスペクトしてるし自分たちの音ってのもしっかり出してる。おっしゃやろう!っていう気持ちが溢れてますよね。

 

ガンホ : 感性がいいっていうか、当時のオレらの解釈でやってたというか。十夢くんのベースもええねんな。

 

―ひたむきさというのも感じられましたね。

 

スチョリ : うん、たしかに。それだけに打ち込んでる感じがありますね。

 

―これが自分たちだけのライヴだったらまた演奏も違ったでしょうし。

 

スチョリ : 邪念が入ったりね(笑)

 

ガンホ : 「TOO SHY SHY BOY」やから(笑)

 

―うわ!観月ありさ!(笑)

 

スチョリ : それ、わからんわ(笑)マニアックやな、ガンホ(笑)

 

ガンホ : でもシャイなバンドやったからなぁ。

 

スチョリ : あのライヴ音源聴いてるときだけ胸張れるわ(笑)このピアノ、オレやで、みたいな(笑)

 

―命日の12月6日にcitymusicのサイトでメモリアル・ギャラリーを公開して。ガンホくんがタルサでジャッキーにもらってきた写真とか、スチョリくんが所有してる秘蔵写真とか。長門さんにも協力いただいて。

 

スチョリ : メンバーからのコメント、というかあれはメールのやり取りかな。みんな喜んでるなぁっていうのが伝わってきたのがよかったなぁ。一周忌でできたのもよかった。これが2年3年あとになるとまた違うし。

 

―それがあって今回の7インチ・リリース。単なるアーカイヴだけじゃないですし。

 

スチョリ : ラリーパパもやっぱりアナログ出したいですね(笑)

 

ガンホ : めっちゃええやん!

 

スチョリ : グッズも作らなあきませんね、Tシャツとか。

 

ガンホ : あ、『ヒット&ラン』のグッズもよろしく。バッヂとか。

 

スチョリ : 誰が買うねん!

 

ガンホ : いやいや、売れるでぇ~(笑)

 

TRACK 9 :

パイレーツ・カヌーとの共演

―今年はスチョリくんのライヴの現場によく行きましたけど、例年になくラリーパパの曲をよくやりましたよね。

 

スチョリ : だいぶ体にも染み込んできましたね。「ふらいと」とか「枯葉のブルース」とか。自分が作った曲じゃないけど、ここから広まってもええかなと。あ、原曲こんな感じやったんや、かっこええなーとか思ってもらえると嬉しいですね。

 

ガンホ : せやな、アレンジ全然違うもんな。

 

―「ふらいと」と「枯葉のブルース」は毎回やってましたね。

 

スチョリ : 「ふらいと」はね、ガンホのギターがめっちゃ好きで。フレーズも固まってきてるし。だから辻くん入れてやりたいんです。

 

ガンホ : だからそこやね、そこが楽しみやね。スチョリがラリーパパの曲をどう歌うんやろ、っていう。十夢くんも入るわけやし。

 

―ますます1月28日のムジカジャポニカが楽しみですね。

 

ガンホ : うん、パイレーツに対抗できるよ!…できるかな?(笑)

 

―今年は<中井大介>、そして<リーテソン>という2人の人物との出会いもありました。

 

スチョリ : この2人と出会ったのはほんまに大きいですね。今年は中井くんのソロ・アルバム(『nowhere』2013年リース)と、ロジャーのライヴ音源をよく聴きましたね。テソンくんも面白いからなぁ。あ、ライヴだけじゃなくてね、打ち上げの感じも最高(笑)

 

ガンホ : ちょっとトゲのあるとこも好きやなぁ。

 

TRACK 10 :

クリスマスの贈り物

―今回の7インチはアメリカの工場でプレスして、テスト盤が12月24日、クリスマス・イヴに届いたんですよね?

 

スチョリ : そうですそうです。フェイスブックにも書きましたけど、ロジャーが毎年クリスマス・カード送ってくれてて。まあだいたいいつも年明けに届いてたんですけどね(笑)ただ今年ばかりはちゃんとクリスマス・イヴに届けてくれた、っていう。

 

ガンホ : めちゃええ話やないの…。

 

スチョリ : アナログはすごいなぁ。ほんまええ。何やろ、この深み。魔法、魔法ですよ、これ。

 

―アナログに魅了されましたね。

 

スチョリ : 魅了されましたよ、やっぱアナログええわぁ。いや、忘れてましたね。気軽に音楽が聴けるようになって、忘れてました本来の音を。

 

ガンホ : なるほど。

 

スチョリ : これ(アナログ盤)が鳴るってすごいですもん、針で(笑)

 

ガンホ : 昔はこれを回しながら録ってたもんね、テープなんてないから。

 

―戦前ですよね、ロバート・ジョンソンとか。

 

ガンホ : そうそう、ロバジョンの世界。専門の掃け職人とかもおったらしいよ。

 

スチョリ : へぇー!すごいなぁ!

 

ガンホ : タモリさんが言うてた(笑)

 

スチョリ : 仙台行ったときの蓄音機、めっちゃよかったやん。なあ、ガンホ。

 

ガンホ : あー、あれはよかった。

 

スチョリ : 今まで蓄音機で聴いたことなくて。仙台行ったときに、とある店のマスターがかけてくれて。めっちゃ音良くて。しかも音がデカい。

 

―最近はアナログ・ブーム再燃だ、と言われてますけど、やっぱりブームだけで終わってほしくないというか。

 

スチョリ : そうですね、今後はLPも出したいと思ってるんです。少しでも周りに刺激を与えることができたり、広まったりしたら嬉しいかな。あとは普段の生活にアナログが溶け込んでいくのが理想ですかね。

 

TRACK 11 :

春にはアルバムもリリース

―実はアルバムのリリースもほぼ決定しているということで。

 

スチョリ : そうなんです、4月にアルバムのリリース、5月にバンドツアーを組もうかと。ヒョンレがレオン・レッドボーンとかジェフ・マルダーとか好きやってずっと言うてたけど、僕も今そういうのがすごく来てて。ジェフ・マルダーの『ワンダフル・タイム』みたいな感じにしたいなと思ってます(笑)

 

―あれは名盤ですね。

 

ガンホ : ジャケットでこうやってるやつやんな(両手を上げるジェスチャー)

 

―収録曲の構成自体はもう決まってますか?

 

スチョリ : そうですね、だいたいですけど。全体的にスローな曲はやめとこうかと思ってます。

あと、暗い曲も。(笑)

 

―何曲か新曲のデモも聴かせてもらいましたけど、アッパーな曲、いいですね。

 

スチョリ : でしょ、あの新曲いいんですよ、タイトルまだ決まってないけど(笑)

「オー、ライッ!」(ドクター・ジョンのモノマネで)とかにしよかな(笑)

 

ガンホ : また適当なこと言うてるわ(笑)

 

TRACK 12 :

7インチの魔法を信じるかい?

スチョリ : 今日ね、テスト盤持ってきてるんですよ。これ聴いてから帰りましょ。

 

ーもう3時回ってますね…(笑)え?めっちゃ重いですね!?しかも分厚い!!

 

スチョリ : でしょ、めっちゃ重量盤でしょ。

 

ガンホ : ほんまや、分厚いな!

 

スチョリ : でもほんまにこのテスト盤聴いたときに、大事にしたらなあかんな、と。ノイズすら愛おしいんすよ!曲終わって最後のとこで「パシュー、シュ、パシュー」って言うてるんですよ。あれがね、いいんです(笑)

 

 

[2014年12月27日 てんまのいえで]

 

※註3 : マニラ・マルダー

脱力系秘密主義ギターデュオ、Manila(マニラ)のメンバーであり、ラリーパパとも非常にゆかりのある人物。2005年にファースト・アルバム『Manila』をリリースし、現在もマイペースな活動をひっそりと継続中。

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